【書評】『自分でできる子に育つ ほめ方 叱り方』(著)島村華子──自主性を育てる親の関わり方とは?

子育て

「子どもが自分で考え、行動できるようになってほしい」
そんなふうに願っている方に、ぜひ手に取ってほしいのが、島村華子さんの著書『自分でできる子に育つ ほめ方 叱り方』です。

この本は、子どもを「親の思い通りに動かす」のではなく、子ども自身が納得し、自分で選び取っていける力=自主性を育むための関わり方を教えてくれます。

軸となるのは、「条件付きの子育て(いい子にしていたら褒める、悪いことをしたら罰する)」から、「無条件の子育て(存在自体を受け止め、内側から育つ力を信じる)」への転換です。

本書では、具体的な場面ごとの声かけ例や実践ポイントが豊富に紹介されており、理論だけでなくすぐに試せる工夫が満載です。

本記事では、本書の概要と、私自身が実践して効果を感じた3つのポイントをご紹介します。

こんな人におすすめ
  • 子どもの自主性や主体性を育てたいと考えている
  • 「ほめ方や叱り方、これでいいのかな?」と迷うことがある
  • つい感情的に怒ってしまう
  • モンテッソーリ教育やレッジョ・エミリア教育など、子どもを尊重する教育法に興味がある

自主性を育てる3つのポイント

① ほめ方:評価ではなくプロセスに注目する

「すごいね」「えらいね」という評価中心のほめ方は、一見ポジティブに思えますが、子どもが“評価されるために動く”ようになってしまいがちです。

それよりも、行動のプロセスや工夫、努力に注目して、「ここよく考えたね」「どうやってやったの?」と問いかけることで、自分の行動を振り返る力が育ちます。

私も最近は、「がんばったね」というよりも「どうやってやったの?」と聞くよう意識しています。会話の深まり方がまったく違い、子どもが自分の気持ちを言葉にする機会が増えました。

② 叱り方:怒鳴るより“伝える”を意識する

つい感情的になって怒ってしまう──それは親であれば誰にでもあることです。でも、怒鳴ったり罰を与えたりする叱り方では、子どもは「反省」ではなく「恐れ」から行動するようになります。すると、行動の意味や背景を理解することなく、ただ「怒られたくないからやらない」という態度になってしまいがちです。

本書では、そんな悪循環を断ち切るために、次のような“伝わる叱り方”が紹介されています。

  • 「ダメ」「違う」などの否定語をできるだけ使わない
  • 結果ではなく、努力やプロセスに目を向ける
  • その行動がなぜ良くなかったのか、理由を説明する
  • 「私は悲しかった」「びっくりした」など、親の気持ちを素直に伝える

たとえば、子どもがジュースをこぼしてしまったとき。

×「なんでそうやっていつもこぼすの!」
○「どうしたらこぼれずに済んだかな?」
○「コップを端に置いておくとこぼれやすいから、真ん中に置いてみようか」

このように、“叱る”のではなく“伝える”というスタンスで接することで、子どもも防衛的にならず、こちらの言葉に耳を傾けてくれるようになったと実感しています。

③ 聞き方:まずは「共感」から始める

三つ目に大切だと感じたのが、「聞き方」です。

「子どもが話してくれない…」と悩む親は少なくありません。でも実は、子どもが話さない原因は、私たち大人の“聞き方”にあることも多いのです。

本書では「アクティブリスニング」という聞き方が紹介されています。私自身、以下のポイントを意識して取り入れています。

  • 目線を合わせる、うなずくなど、ボディランゲージで関心を示す
  • 子どもの気持ちを否定せず、まずはそのまま受け止める
  • 子どもの言葉を繰り返したり、言い換えたり、確認する(=反映)
  • 否定や評価、すぐに解決しようとする姿勢は避ける(=心のバリケードに注意)

たとえば、「○○が嫌だったんだね」とただ言葉を繰り返すだけでも、子どもの表情がふっとゆるみ、安心して話してくれるようになります。

まずは子どもの気持ちに共感すること。正しさを押しつける前に、子どもの言葉にしっかり耳を傾けることが、信頼関係を築く第一歩だと実感しました。

まとめ

ほめるときはプロセスに注目し、問いかける

叱るときは行動の理由と親の気持ちを伝える

聞くときは否定せず、まずは受け止める

モンテッソーリ教育は「自立した人格を育てること」、レッジョ・エミリア教育は「社会に貢献できる子どもを育てること」を理念としています。

一見、異なるアプローチに見えますが、どちらも共通しているのは、子どもを“尊重し、主体的に学ぶ存在”としてとらえている点です。

本書に書かれている子どもへの接し方も、まさにその考えに通じています。大人が上から教え込むのではなく、子ども自身の内側にある力を信じ、引き出していく。そのために必要なのが、「ほめ方」「叱り方」の工夫です。

本書は、さまざまな場面ごとの具体例が豊富で、すぐに実践できる工夫がたくさん紹介されていました。子どもが自分で考え、動けるようになるために、親として何ができるかを丁寧に教えてくれる一冊です。

子育てに悩んでいる方、自主性のある子に育てたい方には、ぜひ読んでほしいと思います。

書籍情報

【書籍名】モンテッソーリ教育・レッジョ・エミリア教育を知り尽くした オックスフォード児童発達学博士が語る 自分でできる子に育つ ほめ方 叱り方 3歳 〜 12歳 の子ども対象

【著者名】島村華子

【出版社】ディスカヴァー・トゥエンティワン

【出版日】2020/4/17

【項数】175ページ

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