【書評】『メモ活』(著)上阪 徹──日常がアイデアに変わる3つのメモ術

メモ術

「いつも同じ日常を繰り返してしまう」「考えがまとまらない」「いいアイデアが浮かばない」――そんな悩みを解決するのが、本書『メモ活』です。
著者は、メモは単なる記録ではなく、思考を整理し、未来を変える武器だと説きます。

本書では、誰でも続けられるメモ習慣が紹介されており、アイデアの源泉となる「素材」を意識し、メモを通じて自己理解を深め、行動に変えていく方法が学べます。

こんな人におすすめ
  • 日々に変化がないと感じる
  • アイデアや気づきをすぐ忘れてしまう
  • 手帳やノートを続けるのが苦手
  • 日記を書きたいけれど、時間がないと感じている

実践ポイント3選

① メモのハードルを下げる

メモは、人の記憶を“代わりに記録してくれる”存在です。

まずは「何をメモすべきか」を意識するよりも、とにかく書くことから始めるのが大切。
内容が雑でもOK。あとで役立つかどうかは気にせず、まずは「書く習慣」を身につけて、覚えようとする脳の負担を減らすことを意識しましょう。

メモの“質”より“量”を優先する

とにかく気になったこと、大事だと思ったことをどんどん残していく。
そうして続けているうちに、「使えるメモ」が自然と混じってくるようになります。

メモの道具を散りばめる

リビング、寝室、カバンの中など、あちこちにノートやメモ用紙を置いておくと、思いつきを逃しません。
いつでもすぐに書ける環境をつくることが、メモ習慣の第一歩です。

メモは「完璧に書くこと」よりも「すぐに書くこと」。
スマホでもノートでも、自分が使いやすいツールを準備しておけば、思いつきをその瞬間に残せます。

私も本書を読んでメモを始めましたが、「何かをしながら書く」ことは意外と難しいと感じました。
そこで意識したのが、ハードルをとことん下げること

  • 些細なことでもとりあえず書く
  • 正解も間違いも気にしない
  • 手元にすぐ書ける環境を整える

この3つを意識するだけで、メモがぐっと取りやすくなりました。

私の場合、スマホが手元にあればスマホに、読書中はノートに、家や職場ではメモ用紙に――と、状況に合わせてツールを使い分けています。

最初は意志の力が必要で少し大変ですが、続けていくうちに、「記憶しよう」としなくていい安心感や、情報を端的でわかりやすくまとめる力が自然と身についていくのを実感しています。

② 素材を集める

誰かに説明するとき、うまく言語化できずに「あれ」「これ」などの言葉が増えてしまうこと、ありますよね。
本書では、形容詞を多用すると言葉が不透明になり、話し方も稚拙に聞こえてしまうと注意しています。

だからこそ、日頃から「素材」を意識して情報を素通りせずにメモすることが大切です。

ここでいう素材とは、

  • 事実:見たこと・聞いたこと・感じたこと
  • 数字:具体性を持たせる情報(数字そのものでなくてもOK)
  • エピソード:時系列や5W1Hを意識した出来事

たとえば、他社を視察した際に「立派な会社」とだけメモしても、何が立派なのか伝わりません。
形容詞を避け、どう立派なのかを具体的に書く──

例:「10年間、右肩上がりの売上を続けている」

このように素材を意識してメモすることで、情報が具体的になり、後から読み返しても再現性の高い記録になります。

素材を拾う意識を持つと、日常のあらゆる出来事が“メモの素材”に変わります。
思考の幅が広がり、発想力も豊かになります。

私自身も以前は、端的に書きすぎて「これ、何のことだっけ?」と困ることが多々ありました。
しかし、「事実・数字・エピソード」を意識して書くようになってから、メモの内容が具体的になり、言葉に説得力が増し、アイデアに発展しやすくなったと実感しています。

③ 3行日記で振り返る

日記を書くことも、立派な“メモ活”の一つです。
頭の中にある出来事や感情を言語化・文章化することで、自分を客観的に見つめ直すことができます。

毎日はあっという間に過ぎていきます。
気づけば一週間、一ヶ月、一年が経ち、「何をしてきたのか」「どんな気持ちだったのか」を思い出せないことも多いものです。
本書では、そんな毎日を意識的に生きるために「3行日記」をすすめています。

その内容は次の3つです。

  1. 今日一番失敗したこと
  2. 今日一番感動したこと
  3. 明日の目標

「今日一番失敗したこと」ではネガティブな出来事を振り返り、「次はどうすればよかったか」を考えます。
「今日一番感動したこと」ではポジティブな出来事に目を向けて、感謝や喜びを再確認します。
明日の目標」では明日への小さな行動目標を立て、前向きな気持ちで一日を締めくくります。

私自身、以前は日記を続けることが苦手でした。
書こうとすると時間がかかり、ハードルが高く感じていたのです。
しかし、この3行日記なら5分もかからず書けるので、無理なく続けられました。

続けていくうちに、1日を振り返る習慣が自然と身につき、
「頭の中の整理ができる」「ストレスが軽減する」「小さな変化に気づける」ようになりました。

そして、何気なく過ぎていく毎日が、少しずつ意味を持つ時間に変わっていく。
それが「3行日記」の一番の魅力だと感じています。

要約・まとめ

上阪徹さんの『メモ活』を通して感じたのは、メモとは単なる記録ではなく、自分の考えや感情を整理し、成長へとつなげる技術だということです。

私が特に印象に残ったのは、この3つでした。

メモのハードルを下げる — どんな小さなことでも書き留め、脳のリソースを減らす
素材を意識する — 事実・数字・エピソードを意識して情報を素通りしない
3行日記で振り返る — 1日を言語化し、変化や気づきを積み重ねる

これらを実践して感じたのは、「メモを取ること=考えることに集中すること」だという気づきです。
日々の出来事を書き残すことで、自分の思考のクセや感情の動きが見えてきます。
その小さな気づきが、次の行動新しいアイデアを生むきっかけになります。

メモは「過去を残すため」ではなく、「未来をつくるため」のツール。
続けることで、見えない変化が少しずつ形になっていく──それが本書の伝えたかった本質だと感じました。

書籍情報

【書籍名】メモ活

【著者名】上阪 徹

【出版社】学研プラス

【出版日】2020/10/15

【項数】256ページ

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